メニューをスキップして本文へ


>

捕鯨反対運動について

  • 2010年2月14日(日) 23:37 JST
  • 投稿者:
  • 表示回数
    4,660
環境経済学 2010年後期の試験に、選択問題の一つとして「捕鯨反対運動について動物の権利概念に言及しながら述べよ」という問題を出した。
今話題になっている日本の調査捕鯨と反対団体であるシー・シェパードの関係がメイントピックになるが、その背後には、動物の権利をどう考えるのかという問題が横たわっている。

すなわち、捕鯨反対運動についていえば、「鯨に生きる権利」があるかどうかという問題がまずあり、それが認定されれば、シー・シェパードは鯨の代理人として権利を行使できるのかという議論が生まれてくる。
仮に代理人として行動することが認められれば、裁判に持ち込むこともできるし、鯨の代わりに鯨を守ることを「自衛」すなわち、正当防衛と主張することもできる。

ここまで議論してようやく、シー・シェパードの行動が「やり過ぎ」だったのかどうかという議論をすることができる。
正当防衛というのは、場合によっては武器を手にして相手を殺しても罪に問われないという強い権利である。
そのことに言及せずに、彼らの行動をとやかく言うのは、状況をまったく理解していない。
彼らの視点からいえば、この行動は正当防衛であるから、環境テロリストと呼ばれる筋合いはない。
攻撃される日本の捕鯨船側は、鯨の権利や代理権などは認めていないわけで、彼らはやはり環境テロリストだ。
この点をしっかり検討して、各自の考えを述べて欲しかったというのが、この問題の意図だった。 答案で多かったのは、鯨を保護するなら、牛やブタをなぜ保護しないんだという指摘だった。
確かにそれはそうかもしれないが、現に絶滅の危機に瀕していると彼らが考えているのは、鯨だ。
あるいは、彼らが「まず」守りたいと考えているのが鯨だ。
それを一足飛びに「鯨だけではなくすべての生きものを守れ」というのは、相手に期待しすぎというものだろう。
どんな運動でも、一歩一歩やっていくしかない。
彼らが鯨に集中しようと考えるなら、それは彼らの自由だ。

なお、今回の問題では議論にはならないが、重要なのが日本の調査捕鯨の是非だ。
そもそもなぜ「調査」で鯨を殺さなければならないのかといった議論には、このサイトが詳しく回答している。
国内で反捕鯨の最先端にいるのがグリーンピースだが、調査捕鯨による鯨肉の横流し問題に関心が少し集中しているかもしれない。
ただ、グリーンピース自体は、海の問題だけでも珊瑚やジュゴン問題、トロール船の問題など、生態系全般にわたってきちんと活動している。
世の中のことをおもしろおかしく、あるいはセンセーショナルに伝えるのが役割であるマスコミの情報だけではなく、自分で一次情報を集めてもらいたい。

最後になったが、この問題、環境「経済学」というよりは、環境倫理学か環境法の問題という気もしますね。

トラックバック

このエントリのトラックバックURL:
http://envecon.ecofirm.com/trackback.php?id=201002142337068
表示形式
コメントの投稿

以下のコメントは、その投稿者が所有するものでサイト管理者はコメントに関する責任を負いません。

  • 捕鯨について
  • 投稿者:ゲストユーザー on 2011年7月22日(金) 08:11 JST
皆牛や豚が殺されるのと鯨やイルカが殺されるのとどこが違うと言いますが
・一番の大きな違いは生態系を持っていると言う事です。
・汚染と言う面で家畜はしっかり管理されている点です。ここは最も大きな違いです。海の汚染は計り知れません。特に哺乳類のような大型の生き物は濃縮された汚染物質を保有しています。
調査捕鯨中止でも現在は北西太平洋上で捕鯨が続いています。以前より毎日新鮮北西太平洋上と表示された刺身が出回っているからです。
余談ですが家畜は本当に今の宇宙の中で地球上で一番悲惨な運命を背負っています。大切な事は最低限の命を頂き感謝し祈る。それくらいに地球上の生命体は同じ命の重みを持っているのだと感じています。